わしら里庄のニンニク兄弟を覚えてくれとるじゃろうか。
「きらり」でバイクに乗ったまま消えてしもうた兄風。あれからわしは兄風に会うてない。
わしは順調にエンターテイメント業界で成功し続けとる。
バキバキにキメてイケメン具合にニヤニヤが止まらないわし。
もちろんコンサートも大盛り上がりじゃ。
流し目たまらんじゃろ?
コンサート後とんでもない事が起こったんじゃ。
わしは宇宙人たちに追いかけられた。
宇宙人に捕まったわしは意識が朦朧となった。
帰ろう…
きらり…
思い出すのは風兄じゃ…。
そしてもう一つ思い出した…。
渾身の変顔を…!
この変顔が心の奥の大事な部分に触れた。わしは無性に兄風に会いたくなった。
そして兄風探しの旅に出た。
兄風の大好きなインドじゃ。
インドに着くと時々フラッシュバックの様にインドの神様を見た。
ヒッチハイクもした。
神様を見た。
自転車はケツが痛かった。
神様を見た。
電車にも乗った。
神様を見た。
兄風はどこにもいない…。
途方に暮れたわしはガンジス川に入った。
色々な物が流れる河。沢山の人が祈る河。それを全部ひとまとめにし、包み込む聖なる河。
そして神様に…
その時わしの心が震えた。
一瞬にして高次元に飛ばされたわしの意識。
そこで会った。
四角い顔の兄風に。
そうか、兄風はわしと共におったんか。孤独感から解放されるわし。みんな一緒におるんじゃ。
そしてわしらはニンニクダンスを踊った。
ニンニクっぽくない?この丸く円を描くところがニンニクの丸さじゃ。
ニンニクの芽のように力強く伸びるで!
わしらは喜び合った。
そして幸せのニンニクパウダーに包まれていった。
大丈夫。
大丈夫。
みんな愛と共にあり
その愛を感じて
心穏やかに生きていける。
おしまい。
この物語はフィクションです。